鯖江市条例第17号
鯖江市市民活動によるまちづくり推進条例
21世紀を迎えた現在、市民自らが様々な分野での公共サービスに積極的に取り組んでいる姿が、私たちの身近なところで日常的に見られるようになってきました。
地方・地域の時代と呼ばれて久しく、国から自治体に対する可能な限りの権限委譲が強く望まれています。しかしその一方で、受け皿となる地域の力量にも少なからず不安があるのも実情です。
地域の力量とは、行政はもちろんのこと、市民自らがまちづくりを推進していこうとする意欲と組織的な実行力にほかなりません。
私たちが暮らす鯖江市でも、数多くの社会教育団体や新たに設立された市民活動団体が、活発に活動を展開しています。
しかし、地域の力量を強化していくためには、今後さらに市民が主体となり、従来の行政だけでは対応しきれない分野を「新しい公共サービス」として創造し、新たな協働事業を展開していくことが必要です。
市民、市民団体、事業者、行政が対等な立場に立ち、共に手を取り合い、それぞれの持ち味や特性を十分に発揮しながら、互いに協調し合うことで、新たなきめ細かい公共サービスが生み出され、また協働事業を展開していくことで、活力にあふれ元気で住みよい鯖江市が創造されるものと確信いたします。
私たちのまち・鯖江市には、多くの人たちが住み、その人の数だけ夢があり、健康で豊かな生活をおくることを望んでいます。
私たち鯖江市民は、この条例の効果的運用により私たちの住む鯖江市が、豊かで健康的な活力にあふれる市となることを願います。
(目的)
第1条 この条例は、市民活動を推進し、市民、市民活動団体、事業者および市の連携と協働による地域に求められている新しい公共サービスを創造するための基本理念および基本的事項を定め、多様な価値観を認め合う豊かで活力ある地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「市民」とは、市内に居住する者、市内の事業所に勤務する者および市内の学校に在学する者をいう。
2 この条例において「市民活動団体」とは、市民活動を継続的に行う非営利団体をいう。
3 この条例において「事業者」とは、営利を目的とする事業を行う個人または法人で、新しい公共サービスや協働事業に参加する意思のあるものをいう。
4 この条例において「新しい公共サービス」とは、市民、市民活動団体、事業者、市が共に知恵と力を出し合って創造する、地域に求められている公益的なサービスをいう。
5 この条例において「協働」とは、市民、市民活動団体、事業者および市が、互いの提案を尊重し、補完し合って実施する社会貢献をいう。
(基本理念)
第3条 市民、市民活動団体、事業者および市は、対等の関係で連携、協働し、誇りと夢にあふれるふるさとづくりを推進するものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、自らが生活を営む地域社会に関心を持ち、自らが取り組むべき問題には、自ら取り組むという意識を持つよう努めるものとする。
2 市民活動は、個々の市民の自発性に基づいて行うものでなければならない。
(市民活動団体の役割)
第5条 市民活動団体は、自らの責任において市民活動を行うとともに、寄附金、助成金の提供者および市民に対して、その活動が広く理解されるよう努めるものとする。
2 市民活動団体は、必要に応じて他の市民活動団体との連携を図るよう努めるものとする。
3 市民活動団体は、必要に応じて地区におけるまちづくり活動等への参画を進めるよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、地域社会の一員として、新しい公共サービスの創造を担う役割を理解し、自発的に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、従業員に対し市民活動に関する啓発、研修等を行うとともに、認識を深めるよう努めるものとする。
3 事業者は、従業員が市民活動に参加する場合には業務に支障がない範囲において支援するよう努めるものとする。
(市の役割)
第7条 市は、市民、市民活動団体および事業者の行う市民活動に対し、必要な情報の提供を行わなければならない。
2 市は、市民、市民活動団体および事業者と相互に尊重しつつ、対等な関係で協働できるよう努めなければならない。
3 市は、市民活動団体が、必要に応じ地区におけるまちづくり活動等への参画を進めることができるよう支援しなければならない。
(市の施策)
第8条 市は、次の施策を推進するものとする。
(1) 新しい公共サービスの創造の推進に関する総合的な施策の展開を図ること。
(2) 市民、市民活動団体および事業者が市民活動を行う場合、必要とする市の社会資源を提供すること。
(3) 市民、市民活動団体および事業者が自ら行うことが適切な事業や公的施設の管理運営の委託を進めることを通じ、行政サービスへの参入機会を提供すること。
(4) 市民活動を推進するための機関および施設を整備し、必要とする市の社会資源を提供すること。
(5) 市の職員に対して、新しい公共サービスの創造に関する啓発および研修等を行うこと。
(資金融資制度の整備)
第9条 市は、市民、市民活動団体および事業者が市民活動を積極的に進めるために行う民間の資金融資制度の整備について、必要な支援を行うものとする。
(市民協働推進会議の設置)
第10条 新しい公共サービスの創造を市民参加で進めるため、市民協働推進会議を置く。
(市民協働推進会議の役割)
第11条 市民協働推進会議は、次の事項を調査し、または協議する。
(1) 新しい公共サービスの創造の推進に関すること。
(2) 市民活動の活性化および市民活動団体相互の連携促進に関すること。
(3) 市民活動に対する市民ニーズの調査に関すること。
(4) この条例の推進に関すること。
(市民協働推進会議の委員)
第12条 市民協働推進会議の委員は、市長が委嘱する。
2 委員の選任に関しては、第3条に定める基本理念に基づき、公募等広く市民に開かれた方法で行われなければならない。
3 市民協働推進会議の委員の報酬は、鯖江市特別職の職員の給与および旅費等に関する条例(昭和32年鯖江市条例第5号)第5条第1項の規定にかかわらず、無償とする。
(会議の運営)
第13条 市民協働推進会議の会議の運営に関しては、第3条に定める基本理念に基づき、市民協働推進会議の自主性が尊重されなければならない。
(会議の公開)
第14条 市民協働推進会議の会議は、公開とする。
(意見の提案)
第15条 市民協働推進会議は、新しい公共サービスの創造の推進および市民活動の活性化に関して、市長へ提案することができる。
2 市長は、前項の規定による提案の内容を市の施策または計画に反映させるよう検討しなければならない。
3 市長は、前項の規定による検討の結果に関し、市民および市民協働推進会議に説明する責任を負う。
(委員会の設置)
第16条 市民協働推進会議に、より細分的、個別的な事項を協議するため、委員会を置くことができる。
(市民協働パイロット事業)
第17条 市民、市民活動団体、事業者および市は、新しい公共サービスを創造するための事業計画を市民協働推進会議に提案することができる。
2 市民協働推進会議は、提案された事業計画が協働で行うことでより大きな成果が見込まれると判断したときは、市民協働パイロット事業として指定するものとする。
3 市民、市民活動団体、事業者および市は、前項の規定により指定された事業を連携、協働して推進するものとする。
(パートナーシップ協定)
第18条 市民協働パイロット事業の実施にあたっては、関係する市民、市民活動団体、事業者および市の間で、当該事業の協働のあり方に関して対等な関係が保たれるように、互いの役割分担、協力の内容等を定めたパートナーシップ協定を締結することができる。
(情報の公開)
第19条 市民協働推進会議および市は、市民協働パイロット事業の実施に関する情報を、個人のプライバシーに関する部分を除いて、広く公開しなければならない。
(市民協働パイロット事業についての意見)
第20条 市民、市民活動団体および事業者は、市民協働パイロット事業に対して意見を提案することができる。
2 市民協働推進会議および市は、前項の意見が提案されたときは、速やかに当該意見について協議し、その協議結果を広く公開しなければならない。
(市民活動推進機関および施設)
第21条 市は、市民活動を推進するための機関および施設を設置し、その充実に努めるものとする。
(市民活動推進機関の役割)
第22条 市民活動推進の機関は、次の事業を推進するものとする。
(1) 市民および市民活動団体に市民活動の場所を提供すること。
(2) 市民の市民活動への参加を進めること。
(3) 市民活動に関する情報を収集し、広く提供すること。
(4) 市民活動の推進に関する啓発活動を行うこと。
(市民活動推進施設の管理運営)
第23条 市民活動推進の施設は、原則として市民活動団体がその管理運営を担うものとする。
2 当該施設の施設管理に要する費用は、当分の間、予算の範囲内で市が負担するものとする。
(協働コーディネーター)
第24条 市民活動団体相互の連携、協働を進めるため、市民活動に関する情報の収集および提供、連絡調整等について専門的役割を果たす協働コーディネーターを置く。
2 協働コーディネーターは、前項に定めるもののほか、市民、事業者、市、市民活動推進の機関、教育機関および地区の社会教育施設等の間で、幅広い連携、協働を進めるものとする。
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、平成15年10月1日から施行する。