サバヌシ総会2022レポート part3

第2部は「コロナでもやり切った~こだわりの活動事例発表~」
それぞれの団体の個性的なアプローチが、当事者からプレゼンテーションされました。
コロナ禍になって、会議や活動発表をリモートに変更した例は一般的ですが、今回の3事例は違う視点も持っていたようです。
この記事では、それぞれを簡単に紹介しましょう。

●リスクの低いプロジェクト?


鯖江地区まちづくり応援団の発表

トップバッターは鯖江地区まちづくり応援団
・「さばえ狂歌作品コンクール」
  幕末の鯖江藩主、間部詮勝公が読んだと言われる狂歌にちなんだ全国公募コンクール
・「38(サンパチ)鯖の日SABAEの日」
  鯖のつく珍しい自治体名を“活用した”、3月8日に焼き鯖を販売するプロジェクト
・「さばえすごろく」
  地元の人も知らないようなものも含め、地域の名所・旧跡・施設をスゴロクに落とし込んだ、子どもから大人まで楽しめるコンテンツ
…以上の3つを柱に活動を進める、鯖江地区のまちづくり団体です。

狂歌コンクールは、公募形式での事業のため、コロナの感染リスクも低く、毎年応募者数が増えているとのこと。
絵手紙とのコラボや作品集の出版で、事業に関わる人の裾野を広げることにも成功しています。

鯖の日の焼き鯖販売は、昨年度は感染防止のため「ドライブスルー方式」を採用。
今年度は遠方の知り合いなどにも宅配便で送れるシステムも開始して販路拡大にチャレンジしました。

すごろくは足かけ4年の事業ながら堂々の完成!
写真は使わず地元イラストレーターによる優しいタッチの絵にこだわった作品。
制作関係者のみのやりとりで完成したクリエイティブなプロジェクトは、ほとんどコロナ禍の影響がなかったそうです。
企画段階でリスク回避が出来る視点は新鮮だったのではないでしょうか。

●徹底した感染防止対策でのコンサート


神明地区まちづくり応援団「楽しんめい」の発表

2団体目の神明地区まちづくり応援団「楽しんめい」は、毎年開いているコンサート開催事業を、可能な限りの感染防止対策のもとに実施しました。
「定員の設定」「消毒」「ディスタンス」「換気」「連絡先の把握」「原則地区民限定」「表だった募集はしない」など、ひとつひとつは特殊とはいえないものかもしれません。
ただ、これだけのことを完遂するのは、決して楽な事ではなかったはずです。
そこまでして実施しようと考えた理由が「このままでは町が死んでしまう」というメンバー全員の声だったこと。この視点が発表ののように感じました。

パンデミックの非常事態で、活力を失いつつある地域をどうにかしたい…
もちろん、健康上のリスクを誰にでも押しつけるべきではありませんが、ウィルスの変異や、対処方法の経験の蓄積など、ただ籠もっているだけではない道を模索することには一考の価値があるように思えます。
確かに、その方法がいつでも通用するとは限りません。
それでも、ウィルスが変異して生き延びようとするように、人間も臨機応変に持てる知識を総動員して、少しずつでも自分たちの活動の場を確保する努力を続けることに賛同する人も多いでしょう。
当然そのためには、“思い込み”ではない学術的知識広い視野撤退を恐れない冷静な判断予想外の展開への対応力など、最大限の選択肢を確保することが大切なのは言うまでもありません。

●コロナ禍を“言い訳”にしない

NPO法人エル・コミュニティの発表

最後の発表者は NPO法人エル・コミュニティ
「鯖江市地域活性化プランコンテスト」で全国にも名を知られた団体です。
本来なら、県外の学生たちに鯖江を肌で感じてもらいながら、新鮮な発想でユニークな提案をしてもらう事業ですが、さすがに県境をまたぐ移動にも双方にリスクがある状況。
それでも、リモートを含むデジタル技術を駆使しながら、今年度の事業をやり切りました。
直接顔と顔を合わせる事業に比べて、もしかすると100%でない部分もあったかもしれませんが、その中でも継続実施することへの強いアピールが心に響きます。

「コロナ禍では、確かに事業をあきらめても誰も責めはしない。でも、万が一、それを言い訳にプロジェクトを中止してしまうと、失うものが計り知れないこともある。」

例えば、毎年運営に参加する学生の間で継承される「スキル」「経験の蓄積」、もっというなら「思い」「時間や雰囲気の共有」まで…それが一度途切れると、地域に根を張ったプロジェクトの根幹が大きく揺らいでしまうかもしれない。
…それは、新陳代謝の早い学生たちとのプロジェクトだからこそ、より説得力を持って語られたように思えました。

●そして「未来会議」へ

個性的な3団体の発表には、それぞれの成果とともに、それぞれの視点や論点がありました。
必ずしも、全ての団体や活動に当てはめられはしませんが、新しい気づきやチャレンジへのきっかけになる内容だったと思います。

part4へ続く

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