心構えができたところで、第1部に突入!
まずは、これまでの「サバヌシ総会」でも「発表者」「ファシリテーター」として何度も登場している、NPO法人エル・コミュニティ代表の竹部美樹さんの基調講演から。
ただし、今回のお話は、鯖江の「市民主役」をより広め、より強くしていくためのロードマップを、彼女の視点と経験からわかりやすく解説・提案する内容が特徴でした。
それは、「自分と『市民主役』とはどう関わってるの?」とか、「でも結局、私に何ができるんだろう?」みたいに思っている皆さんには、スッと腑に落ちるものだったのではないでしょうか。
●「提案型市民主役事業」を足がかりに
竹部さんの活動は全国的にも注目されているものが多く、そのかなりの部分が「地域の担い手育成」を目指すものです。
「鯖江市地域活性化プランコンテスト」「学生団体With」「Hana道場」など、どれをとっても個性的で魅力のあるものですが、竹部さん自身、自分のようにそれを専門でやっている人間でもなければ、同じようにパワーを注ぎ込んで活動を続けていくことが難しいのは十分わかっているとのこと。
そこで、ひとつの足がかりとして示してくれたのが「提案型市民主役事業化制度」のことでした。
「市民主役」の柱のひとつであるこの制度は、これまで行政が行っていた事業に市民からの提案によるアイデアを募り、採用された企画には予算をつけて、発案者を主体に事業を実施してもらう仕組みです。
課題や改善点についての意見があるのも確かですが、市民が地域に関わる方法として活用することで、自分や仲間が“主役”として動き出す1歩になる可能性は重要なポイントでしょう。
●「地域のこと」は「自分ごと」
最初は「提案型市民主役事業化制度」の活用で資金面や行政のサポートを受けつつ、自分や自分たちのグループ・組織を成長させ、最後は資金面でも自立して地域に関わっていく。
…それが、竹部さんの提案した「市民主役」の“ロードマップ”でした。
確かに、みんながみんな通れる道とは限りませんが、少なくとも「ルートのひとつ」なのは確かです。
そして、その道を目指す時にポイントとなるのが、どれだけその活動(事業)を「自分ごと」としてとらえられるか…ということ。
その意識がなくては、地域と自分の関係を「損得」だけで判断してしまったり、「自分だけ良ければ」といった狭い視野で行動してしまう危険性もありますよね。
「市民主役」の根っこには、“誰かひとりが主役”ではなく、“全ての市民が主役”という、多彩で多様な一人ひとりを尊重する価値感があるのだと、あらためて気づかされる講演でした。